• 5月 15, 2023
  • 3月 16, 2024

生後2か月から1歳で打つワクチンで防げる病気のお話※2024年3月更新

こんにちは!湘南辻堂こどもクリニックの坪田伶那です。

新型コロナウイルス感染症以外にも、世界には色々な感染症があることを、この機会に改めて皆さんに知っていて欲しいと思い、ワクチン(予防接種)のまとめをしてみました。

ワクチンで防げる病気の多くは、かかると今でも治療が難しくて、命にかかわる病気です。失った命や健康は戻ってきませんので、ワクチンで免疫をつけておくことが大切です。

同時接種は世界的に当たり前に行われ、子どもの健康を守っているもので、当院でも同時接種をおすすめしています。1回に何種類も打つのが不安な方もいらっしゃると思いますが、1本ずつ打つと必要なワクチンの接種が遅れてしまったり、受診回数も増えて大変です。

不安な場合や、分けて打ちたい場合や、事前にスケジュールを考え、丁寧にご説明致しますので、お気軽にご相談ください。

必要なワクチンを打てず、防げたはずの重大な病気になってしまっては大変です(公費で打てる時期には制限があります)。

何をいつ頃打つと良いのか、まとめてみようと思います。このページでは、1歳までのお子さん向けワクチンをご紹介します。

B型肝炎

感染力が強く、毎年多くの人がかかっています。血液や体液(唾液、尿、涙など)を介してうつります。知らない間にキャリアになった家族などから子どもへの感染もめずらしくありません。保育園で集団感染したこともあります。体に入ると肝炎をおこし、一生肝臓にすみついて、将来肝硬変や肝臓がんをおこしたりします。

ワクチンで免疫を付けておいて予防することが大切です。

生後2~4ヵ月未満の間に2回、7~9ヵ月未満の間に1回の計3回を接種します。

(*お母さんのB型肝炎ウイルス感染が確定している場合は、スケジュールが異なります)

肺炎球菌

肺炎、中耳炎、髄膜炎、菌血症、敗血症などの病気を起こします。子どもの肺炎球菌感染症は重症化することが多く、入院するお子さんも多いです。高齢者もかかりやすい病気です。

生後2~5ヵ月未満の間に3回、生後12~15ヵ月未満の間に1回の計4回を接種します。

※2024年4月以降は、15価ワクチンに変わります(これまでは13価)。

ヒブ(ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型)

髄膜炎や喉頭蓋炎などの原因となり、毎年多くの赤ちゃんの命を奪ってきました。ワクチン導入後、この感染症で亡くなったり重い後遺症が残るお子さんが激減しました。早い時期に済ませたい、大事なワクチンです。

生後2~5ヵ月未満の間に3回と、生後12~15ヵ月未満の間に1回の計4回を接種します。

4種混合(ジフテリア、百日ぜき、破傷風、ポリオ)

その名の通り4種類の感染症に対するワクチンが入っています。

1期:生後3か月から4週間隔で3回接種し、3回目の約1年後に4回目を接種します。
2期:11歳から、二種混合(ジフテリア・破傷風)ワクチンを1回接種します。

*就学時前の接種(任意接種):百日せきワクチンの抗体は小学校入学前に低下するため、3種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日せき)の接種を推奨しています。

1.ジフテリア

のどに付着して、毒素を出し、空気の通り道をふさぐほどの炎症を起こしたり(クループ)、心臓に障害を起こして死亡することもあります。

2.百日ぜき

日本でも流行がみられる、長引くせきが特徴の感染症です。スタッカートのようにコンコンコンコンという短いせきが長く続いて、そのうちに顔が真っ赤になるほど苦しくなります。10秒以上せきが続いたところで、やっと苦しそうに「うーーーーー」と音を出して息を吸い込みます。抗生物質を使ってもせきは止まらず、赤ちゃんでは死亡するほど重症になることもあります。小学生以上の場合せきが100日くらい続くものの、死亡することはほとんどありません。

3.破傷風

破傷風菌が傷口から入って、筋肉をけいれんさせて死に至ることもある重い病気です。大人になると破傷風に対する免疫は落ちるため、破傷風トキソイドという破傷風単独のワクチンを追加接種することもあります。

4.ポリオ

手足のまひが一生残ったり、呼吸をするための筋肉のまひで呼吸ができなくなることもあります。昔は飲む生ワクチンを使用していましたが、2012年9月からはより安全な注射の不活化ポリオワクチンに切り替わりました。

5種混合ワクチン

ヒブワクチンと4種混合が1本にまとまった、2024年新発売のワクチンです。

2024年4月以降初めてワクチンを打つお子さんは、5種混合ワクチンが使用されます。

ロタウイルス

ウイルス性胃腸炎の原因のひとつです。嘔吐、下痢を起こし、お腹の風邪などといわれることもあります。脱水症になり、とてもつらいものです。感染力が強く、家族内や保育園でもあっという間に流行します。ワクチンを接種しておくと、かかっても軽く済みます。

飲み薬です。製剤が2種類あり、どちらのワクチンも同じように効果がありますので、どちらでも選んでいただけます。腸重積に注意する必要があり、接種できる期間が短いので生後2か月に同時接種で始めることをお勧めします。

  1. ロタリックス(1価):生後14週6日(生後3か月半過ぎ)までに1回目を受け、生後24週(168日)までに2回の接種を完了します。生後24週以降は接種することができません。接種回数は2回で、含まれるウイルスタイプは1種類です。
  2. ロタテック(5価):生後14週6日(生後3か月半過ぎ)までに1回目を受け、生後32週(224日)までに3回の接種を完了します。生後32週以降は接種することができません。接種回数は3回で、含まれるウイルスタイプは5種類です。

(*飲むワクチンなので、授乳は1時間前に済ませてくることをお勧めします。吐き戻ししないようにということと、お腹がすいていた方がよく飲んでくれます。)

BCG(結核)

腕にワクチン液を垂らし、その上から小さな針のついたスタンプで注射します。生後5か月から7か月での接種がおすすめです。結核が流行している地域では、生まれてすぐに接種することもありますが、年齢が低いと副作用も大きくなります。

副作用は、脇のリンパ節が腫れたり、稀ですが全身に結核菌が広がって結核にかかった状態になることがあります。

接種後2〜3週間後にポツポツ赤くなってきますが、これは正常な反応です。すでに結核にかかっていたお子さんでは、接種してすぐ(10日以内)に赤く膿んでくる、コッホ現象という反応が起きます。もし接種してすぐに強い赤みが出てきたら、診察が必要になりますので、ご連絡ください。

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