発達・発育の相談について

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お子さんにはそれぞれの個性があり、身長や発育も違います。
発育のパターンもそれぞれで、ゆっくり伸びるお子さんもいますが、一方では早く身長が伸びてしまって、その後はあまり伸びずにいるお子さんもいます。

個性豊かなこどもの発育の中で、受診が必要な場合もございます。
当院では、低身長や思春期早発症など、小児特有の内分泌(ホルモン)系の疾患の診療も行っています。
お気軽にご相談ください。

代表的な疾患には、以下のようなものがあります。

低身長

お子さまの身長が低いという場合、その理由の多くは、遺伝や体質によるものです。
そのほかに考えられる可能性としては、身長を伸ばすホルモン(成長ホルモンなど)が出ていない場合や、稀ですが染色体や骨の病気が原因となって身長が伸びないケースもあります。
このような病気は多くはありませんが、早めに治療を受ければ身長は伸びます。

また、逆に身長が伸び過ぎるような場合も、思春期早発症などの病気が潜んでいる可能性があり、要注意です。
お子さまの低身長、あるいは成長について、ご心配という保護者の方は、一度ご相談ください。

その際、成長曲線(これまでの成長記録)が大変重要です。
母子手帳、幼稚園・保育園・小学校での記録をご持参ください。

甲状腺疾患

小児によく見られる甲状腺疾患には、先天性甲状腺機能低下症、バセドウ病があります。

先天性甲状腺機能低下症

甲状腺の働きが生まれつき弱い状態のため、甲状腺ホルモンが不足している疾患です。
発生頻度は3,000~5,000人に1人程度と推定されています。
出生後の早期には、元気がない、哺乳不良、体重増加が芳しくない、便秘、手足が冷たい、泣き声がかすれている、といった症状が見られます。
そのまま何もせずにいると長期的には、身体の成長や知的な発達が遅れることが問題となります。

現在、日本ではこの疾患について「新生児マススクリーニング検査」が行われていますので、そのような症状が明らかになる前に、この検査で見つかり治療が始まるお子さんがほとんどです。

バセドウ病

血液中にある甲状腺ホルモンが過剰になって全身の代謝が亢進し、特有な症状を呈する疾患がバセドウ病です。
小児の場合、思春期以降によく見られますが、幼児にも認められます。
15歳未満の発症率は約5%です。
男女比は約1:7で、女児に多く発症します。

甲状腺腫大、頻脈、眼球突出、体重減少、手指が自分の意志と関係なく勝手に震える、発汗増加などの症状が見られる場合はバセドウ病が疑われ、検査を行います。
なお診断については、血中の甲状腺ホルモン濃度を測定すれば速やかに判定できます。

治療では、甲状腺ホルモンの合成を抑える抗甲状腺薬を服用により、甲状腺ホルモンの分泌を抑制して正常に近づけていきます。

思春期早発症

思春期は子どもから大人へ移行する時期で、心身ともに大きく成長する時期です。
思春期には性ホルモンの分泌が増え、新しい命を授かるための身体の準備が整います。
このことを二次性徴と呼びます。

思春期の開始時期は人種によっても異なりますし、何をきっかけに思春期が始まるのかは正確にはわかっておりません。
通常、女子は10歳頃、男子は12歳頃から男女差がはっきりしてきます。

下に平均的な成長パターンを示しますが、個人差が大きいので、必ずしもこのような経過を取らないこともあります。

  • 女子:多くは乳房発育から始まり、その後、陰毛発育、月経の順に出現します。
    乳房発育は左右で時期がずれて、片方ずつ発育が始まることもあります。
  • 男子:精巣の大きさが3-4 ml以上になった時を思春期の開始と考えます(orchidometerという測定器を用いて測定可能)。
    その後、陰茎増大、陰毛発生と進んでいきます。身長がぐっと伸びた後に、声変わりが起きます。

思春期の開始が平均より2〜3年くらい早く始まるのが思春期早発症です。

思春期早発症で問題となるのは、思春期が早く進むことで、大人になったときの身長が極端に小柄になること、幼い年齢で女性化・男性化が進んで本人や周囲が精神的負担を負うことがあること、稀ではありますが思春期を早める病気(腫瘍など)が見つかる場合があることです。
診断のために、血液検査、MRI検査などを行うことがあります。
検査の結果、もしもホルモンに異常が見られる場合には注射による治療を、腫瘍などの病気が見つかった場合にはその病気に対する治療を行います。

思春期遅発症

男の子で14歳以上、女の子で12歳以上になっても二次性徴が認められない場合は、思春期遅発症が疑われます。
低身長を伴っていることが多いです。 
栄養面の問題なのか、体質的な思春期遅発症なのか、性ホルモンが出ない病気や、精巣や卵巣の病気がないか、などを調べる必要がありますので、一度受診してご相談ください。

思春期は、お子さん自身、からだの変化に、不安や戸惑いを覚えたり「周囲からどのように思われているのだろう」と、他人からの評価にとても敏感になっていたりします。
保護者も戸惑うことも多い時期ですが、外見のことを評価するような言葉はかけないようにしましょう。
悩んだときは、どうぞお気軽にご相談ください。