• 5月 16, 2023
  • 5月 17, 2023

3歳〜12歳で打つワクチンで防げる病気のお話(日本脳炎、3種混合、2種混合、ポリオ)

こんにちは!湘南辻堂こどもクリニックの坪田伶那です。

前回までのブログで、3歳までに打つワクチンのご紹介をしました。

1〜2歳頃は、ワクチンの種類も多く、小児科にも受診して相談する機会も多いですが、3歳も過ぎる頃には、「次はいつ頃、何のワクチンを打つんだけ?」となりがちです。

  • B型肝炎 3回
  • ヒブ 4回
  • 肺炎球菌 4回
  • 4種混合 4回
  • BCG
  • ロタウイルスワクチン(種類により2回 or 3回)
  • みずぼうそう 2回
  • MR 1回
  • おたふくかぜ(任意接種)1回

を3歳の誕生日までに接種できているか、確認しましょう。もし打ち忘れているものがあったら、母子手帳をお持ちの上、ご相談ください。

今回は3歳〜小学生のお子さんに接種するワクチンのお話です。

日本脳炎

日本脳炎ウイルスは、日本(特に西日本)を含む東南アジアで流行しています。豚の血液の中で増え、その豚を刺した蚊がヒトを刺すことで感染を広げます。

生後6か月から接種できますが、特別流行している地域に滞在したり、発生した地域に住んでいなければ3歳からの接種でかまいません(近年では熊本県、高知県、山口県、沖縄県、福岡県、兵庫県、千葉県での発生が報告されています)。

数は少ないですが、脳炎を起こすことがあり、後遺症を残したり死亡することもあるので注意が必要です。最も有効な予防は、蚊に刺されないことですが、完全に予防するのは難しいため、夏が来る前(蚊が出てくる前)にワクチンを接種しておき、予防するのが大切です。

3歳~4歳未満の間に2回、さらに2回目の接種後に1年程度間隔を空けて1回、その後9~13歳未満の間に1回の計4回の接種をします。

忘れがちなワクチンなので、対象年齢のお子さんがいるご家庭は、一度、接種歴を母子手帳で確認してみてください。

*特例措置:1995年4月2日生まれ〜2007年4月1日生まれの方は、一時的な接種見合わせがあった影響で、20歳までは公費でワクチンを受けられます。母子手帳で確認し、合計4回接種歴が確認できない方は、ご連絡ください。

3種混合(百日ぜき、ジフテリア、破傷風)・ポリオ

0歳で接種した4種混合(百日ぜき、ジフテリア、破傷風、ポリオ)ワクチンですが、身につけた免疫(抗体)は年齢と共に下がり、再び感染しやすい状態になっています。

特に百日ぜきは、小学校に入るまでに多くのお子さんで免疫が無くなり、子どもから大人まで流行がみられます。集団感染したり、何ヶ月も咳で苦しんだり、家族内の赤ちゃんがかかって重症になることも多いので、小学校に入る前の1年間での3種混合(百日ぜき、ジフテリア、破傷風)ワクチンが推奨されます(*4種混合ワクチンは、計4回までしか受けられません。そのため、追加接種するときは3種混合で接種します)。

ポリオも、ワクチンでの免疫が落ちる時期に流行がみられるため、世界的には4歳以降の追加接種が標準になっています。世界との交流が盛んな現代では、小学校に入る前の1年間で追加接種しておくと、良いでしょう。

11歳になったら、DT(ジフテリア、破傷風)が定期接種になっています。このときにも、百日ぜきも予防するため、お薬を3種混合(百日ぜき、ジフテリア、破傷風)に変更して接種することも推奨されていますが、定期接種なら無料なのに、任意接種で3種混合を打つと有料になってしまうのが難点です。

3種混合やポリオの追加接種は、任意接種ですが、日本小児科学会やWHOでも推奨されています。日本でも推奨されはじめたのが2018年からなので、まだあまり知られておらず、まわりで接種している人も少なかったりするかもしれません。ご家族で相談してみてください。

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