- 4月 17, 2025
- 4月 23, 2025
RSウイルスワクチン アブリスボ(ABRYSVO) 〜妊娠28週から36週の妊婦さん向け〜
湘南辻堂こどもクリニックです。
本日ご紹介するのは、アブリスボというRSウイルスに対するワクチンです。2024年5月31日にが発売され、当院でも接種しております。
RSウイルスはどんなウイルス?
RSウイルス感染症は、赤ちゃんのウイルス性の風邪の主な原因のひとつであり、ほぼすべてのお子さんが2歳までに感染するとされています。RSウイルスは、患者さんにより、軽い風邪のような症状から重い肺炎の症状まで様々です。
大きいお子さんや大人は、感染してもただの風邪症状で終わってしまうことが多いのですが、特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんがかかると重症化することがあり、危険なウイルスです。咳や鼻水、発熱などの症状がある期間が長く、発症から5日目くらいが一番ひどくなります。細気管支炎や肺炎などの下気道炎を引き起こして重症化し、強いせきやゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難などの症状がみられることもあります。
特効薬はなく対症療法が中心となりますが、中耳炎や肺炎の合併がある場合には抗生剤も追加で使用されることもあります。呼吸困難が強いなどの重症の患者さんは入院し、酸素投与や人工呼吸器で対応します。またその他に、稀ですが重篤な合併症として、無呼吸、急性脳症などがあります。
後遺症として喘鳴を繰り返しやすくなる(気管支喘息)ことも知られています。
自宅でできる感染予防
飛沫・接触感染するので、基本的な感染対策は、手洗いや手指消毒、換気、マスクの着用が有効です。RSウイルス感染症は1年を通じて感染がみられますが、流行する時期があります。赤ちゃんがいるご家庭では、ご兄弟や保護者の方が風邪をひいてしまった際は、特に感染対策に取り組むことができると良いでしょう。
アブリスボ対象者
アブリスボは大人に接種していただくワクチンで、2つの観点から対象者が決められています。
①妊婦さんに接種することで、母体で作られたRSウイルスに対する抗体が赤ちゃんに移行することで、生まれてきた赤ちゃんをRSウイルスから守る効果が期待できます。生ワクチンではないので、妊婦さんにも接種可能です。効果発現時期の観点から、最も効果的な接種時期は妊娠28週から36週です。
②60歳以上の方のRSウイルスによる感染症の予防
シナジスやベイフォータスとの違い
小さく生まれた赤ちゃん(早産・低出生体重児)や、心臓や肺の基礎疾患、免疫不全、ダウン症のあるお子さんはハイリスクとして注意が必要ですので、これまでは、生まれた後にシナジスやベイフォータスといった抗体注射剤を打つことでRSウイルス感染予防が行われてきました。
アブリスボでは、小さく生まれた赤ちゃんや持病のある赤ちゃん以外の全ての赤ちゃん(産まれる前に打つので赤ちゃん自身のリスクが事前にわからない)に、RSウイルス感染予防を行える点が、シナジスやベイフォータスとの大きな違いです。
副作用
注射部位の痛みなどはありますが、ほとんどの方が強い痛みは出なかったと報告されています。また、重篤な有害事象(早産など)は打った場合と打たなかった場合と比較して、頻度に変わりはありませんでした。

ご予約後にお取り寄せするワクチンになりますので、接種ご希望の方はまずはお問い合わせください。