1歳で打つワクチンで防げる病気のお話（麻疹、風疹、みずぼうそう、おたふくかぜ）※2024年3月更新

こんにちは！湘南辻堂こどもクリニックの坪田伶那です。

前回のブログでは、1歳までに打つワクチンのご紹介をしました。

• B型肝炎　3回
• 肺炎球菌　3回
• 「ヒブ　3回＋4種混合　3回」 or「5種混合　３回」
• BCG
• ロタウイルスワクチン（種類により2回 or 3回）

を1歳までに接種できているか、確認しましょう。もし打ち忘れているものがあったら、ご相談ください。

1歳になったお子さんに接種するワクチン

1歳になると、お母さんからもらった免疫（抗体）も少なくなり、様々な感染症にかかりやすくなります。とても大切なワクチンが多いため、1歳になったらすみやかに受けられるようにしましょう。

1歳になったら、

を接種しましょう。

肺炎球菌、「ヒブ＋4種混合」or「5種混合」については、0歳代でも3回接種しているものですが、1歳代で追加接種（4回目）を受けないと効果が長続きしません。必要回数しっかり受けましょう。

ここからは、1歳からのワクチンで初めて打つワクチンのお話です。

麻疹、風疹、みずぼうそう、おたふくかぜのお話

・麻疹（はしか）

麻疹ウイルスは感染力がとても強く、命に関わるとても重い病気を起こします。ワクチンを受ける人が多ければ発生は抑えられますが、ワクチンを受けない人がいれば必ず流行します。熱が3〜4日続いた後、身体や口の中に特徴的な発疹がでてきます。熱は7〜10日くらい続きます。気管支炎、肺炎、脳炎、中耳炎などを起こしたり、かかってから数年後に知能障害や痙攣で発症する亜急性硬化性全脳炎という難病を起こすこともあります。治療法はありませんので、ワクチンをしっかり受けておきましょう。

MRワクチンとして、1歳～2歳未満の間に1回、小学校就学1年前の間（幼稚園や保育所での年長児）に1回の計2回を接種します。

・風疹（ふうしん）

感染力が高く、日本ではいまだに流行します。熱、首のリンパ節の腫れ、発疹がでてきます。脳症、血小板減少性紫斑病、妊娠初期にかかると胎児の目・耳・心臓・神経に異常を起こし重篤な状態になることがあります。妊娠を希望される女性・パートナー・同居家族も抗体がない場合、妊娠前にワクチンを打っておきましょう（＊藤沢市の風しんワクチン予防接種費用の一部助成　https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/kenko-z/kenko/kenko/yobosesshu/fushin.html　が当院でも利用できます）。

MRワクチンとして、1歳～2歳未満の間に1回、小学校就学1年前の間（幼稚園や保育所での年長児）に1回の計2回を接種します。

・みずぼうそう（水痘・帯状疱疹ウイルス）

とても感染力が強く、はじめて水痘にかかると、数日続く熱、虫さされのようなかゆい発疹が全身に広がります。脳炎、肺炎、発疹から細菌がはいり重い感染を合併することもあります。日本でも毎年10〜20人程度死亡しています。

1歳～1歳3ヵ月未満の間に1回、1回目の接種から半年～1年程度の間隔を空けて1回の計2回の接種。

一度水痘にかかったことがある人が免疫力が下がったときにおこる病気が帯状疱疹です。50歳以上で水痘ワクチンをもう一度打っておくと、帯状疱疹の辛い神経痛に予防効果があります。

・おたふくかぜ（流行性耳下腺炎、ムンプス）

日本では現在任意接種ですが、世界の多くの国では定期接種です。毎年60万人がかかり、後遺症を残すお子さんもめずらしくありません。ほっぺた（耳下腺）が腫れるだけでなく、髄膜炎、一生治らないほど重度の難聴、脳炎、精巣炎・卵巣炎（不妊）、膵炎などになることがあります。かかる前に2回接種して、確実に予防した方がよい病気です。

標準的には、1歳～2歳未満の間に1回、小学校就学1年前の間（幼稚園や保育所での年長児）に1回の計2回を接種します。MRワクチンと同じタイミングで打つ、と覚えると良いでしょう。

＊麻疹・水痘・結核は空気感染で広がる＝とても感染力が強いウイルスです＊

重症になったり、後遺症を残したりする危険なウイルスですが、日常のどこで感染するか分かりません。一人でも感染すると、多くの人を危険にさらしてしまうため、大きな問題になることが多いです。

ワクチンは、お子さんが健康に成長するために、とっても大切なものです。特に保育園などで集団生活をするお子さんは1歳になったら早めに打つことをお勧めします。