- 4月 14, 2025
- 4月 16, 2025
赤ちゃんの頭のゆがみについて、原因と対策・治療法について詳しく解説(絶壁、むきぐせなど)
湘南辻堂こどもクリニックです。
4ヶ月健診で多くの親御さんからご質問のある、「頭の形が歪んでいるのですが大丈夫ですか?」にお答えしたく、今回ブログにまとめてみました。
赤ちゃんの頭の大きさの成長は、生後2〜6ヶ月で著しく、この時期の歪みが大きくなってしまうと、将来大人になってにも歪みが残ったり、歪みが大きいと身体的に問題を感じる方もいらっしゃるため、生後6ヶ月未満の赤ちゃんのうちに適切な対処・治療を知っておくことが大切と考えられていますので、詳しく解説していきたいと思います。
【頭の歪みの原因】
・頭蓋縫合早期癒合症:頭蓋骨の縫合が通常よりも早く癒合してしまう病気です。頭蓋骨はもともと何枚かの骨が骨縫合でくっついて、全体を形成しています。産道を通るために頭蓋骨が縫合は開いた状態で産まれてきますが、1歳〜1歳半頃にはくっついてくるのが正常の経過です。縫合が早期に癒合することで、頭蓋骨の成長が妨げられ、頭の形が変形したり、頭の中の圧が高くなったりして治療が必要となります。
・位置的頭蓋変形:寝ている時に同じ方向を向いていることで圧がかかることによる変形(特に男児の方が頭が重いので影響大きい)がほとんどです。胎内で骨盤位だった際に圧迫された影響が出ている方もいらっしゃいます。
重症になると、耳、おでこ、頬骨、目、歯列の位置的なズレが起きることもあります。将来的に、メガネで左右が合わせにくい、肩こり・腰痛などが起きやすくなるとの研究報告もあります。頬骨の歪みが気になって美容整形をする方もいるので、歪みの程度が重症な方は、赤ちゃんの適齢期に治療をお勧めすることがあります。
【検査】
・視診:まずは頭蓋骨の形を見て、斜頭、長頭、短頭(絶壁)の程度を確認します。耳・おでこ・頬・目の左右差を確認します。症候性の頭蓋骨早期癒合症では、眼球突出など特徴的な顔貌となったり、手足の異常を伴うこともあり、そういった異常がないか確認します。
・触診:生後6ヶ月未満で骨縫合が癒合していると骨が盛り上がって触れるため、早期癒合症を疑います。
・レントゲン撮影(生活している上で自然に浴びる放射線の1ヶ月分程度で、そんなに多くないので安心して受けていただける程度):当院では行うことができないため、他院へご紹介となります。
・3D撮影:「赤ちゃんの頭のかたち測定」というアプリで、ご自宅でも簡単に重症度の簡易測定ができます。また、ヘルメット治療を行う病院では設備として、カメラタイプ、据え置きタイプの撮影機材などがあります。
ただし、万能ではなく、頭の形を立体化して撮影した上で、断面図を計算に用いるので、見た目は重症でも、計測をすると軽症ということもあるので、診断の一助という位置付けです。(とはいえ、数値で改善が見られると励みになります。)
【治療】
・頭蓋縫合早期癒合症:手術により、狭くなった頭蓋を拡大することで脳が成長できる環境を整えます。頭の形を正常にするという整容的な意味合いもあります。手術の方法には様々なものがあり、手術を受ける年齢によってもその方法は変わってきます。
・位置的頭蓋変形:
①体位調整
頭に圧がかかると変形が進んでしまうので、赤ちゃんを腹ばい姿勢にする、タミータイムというやり方があります。お世話の合間や機嫌のよい時間帯に1日20分のタミータイムをすることで、後頭部にかかる圧が減り、頭の変形の予防になります。 最初は、赤ちゃんのお腹が保護者の胸にくるような姿勢で抱っこすることから始めると良いでしょう。慣れてくると、赤ちゃん一人で床の上でうつ伏せになることも可能ですが、タミータイム中は、赤ちゃんから絶対に目を離さないよう注意しましょう。色々なyoutubeで詳しいやり方、注意点がアップされているので、ぜひ見てみてください。タミータイムは、視界、床の感触を触れるなどの刺激から、体の発達にもメリットがあると言われています。無理ない範囲で導入してみましょう。
また、むき癖が強いお子さんは、むきぐせ枕を使ってもずれてしまうこともあります。寝返り防止固定器具が売っていたり、2Lペットボトルに水を入れて重しにして赤ちゃんの左右に置いて赤ちゃんが転がらないように固定するやり方もあるそうですが、赤ちゃんをよく観察しながら、安全性に注意して使用することが必要です (乳幼児突然死症候群 SIDS予防のため、 赤ちゃんが寝る場所には枕やぬいぐるみをおかない、口や鼻はおおわないことが原則です)。
生後5−6ヶ月になると寝返りをして、それから間も無くお座り、つかまり立ちを始めますので、ずっと一つのポジションで寝ていて頭に一定の圧がかかり続けることは減ってきます。そうすると自然経過でも丸く戻る子が多いのですが、変形の強い重症なお子さんは待っていても丸くなりきらないことがありますので、下記のヘルメット治療が勧められることがあります。
②ヘルメット治療
全額自費で診療となります。値段は施設によりますが30万〜60万程度のところが多いようです。生後2〜7ヶ月が適正な治療開始時期で、1歳を過ぎてしまうと効果が得られにくいため治療開始を断れることもあるようです。
ただし、ヘルメット治療前に早期癒合が否定されたお子さんでも、治療に難渋する場合、初診時には見つけにくい早期癒合症が隠れていることがあり、再度精密検査が必要となることがあるので、注意が必要です。
いかがでしたでしょうか。
赤ちゃんの頭の歪みに関して、ご心配事がある場合は、ぜひ一度ご相談ください(保険診療)。
