- 10月 27, 2026
抗 RS ウイルス抗体製剤 エヌフロンシアのご紹介
<RSウイルスとは>
2歳までにほぼ100%のお子さんが感染するといわれているウイルスです。年齢を問わず何度も感染を繰り返します。特にはじめて感染する場合や、生後6か月以内で感染した場合は、気管支炎や肺炎で入院することがあります。
以前は秋から冬(11月〜1月頃)にかけて流行するのが主流でしたが、2021年以降は春から夏にかけて増加し、夏にピークを迎える傾向へと変化しています。
<治療>
特効薬はないため、対症療法となります。具体的には、高熱でぐったりしているときには解熱剤を使用する、咳・鼻水・痰には去痰剤や鎮咳剤。気管支炎を起こしている場合には、気管支拡張剤(ホクナリンテープやメプチン内服薬、メプチン吸入薬)。喘息に移行しているお子さんにはステロイド吸入薬などを使用することがあります。喘鳴(ぜーぜーする)が強く呼吸が苦しいお子さんには、ステロイド内服薬を使用したり、入院にて酸素投与を行ったりすることがあります。
中耳炎や肺炎を併発することもあり、その場合には抗菌薬での治療も要することがあります。
<予防>
・基本的な感染対策(手洗い、マスク、換気など)
・妊婦さんに接種するワクチン(アブリスボが2026年から公費となりました→アブリスボのブログはこちら https://tsujido-kodomo.com/blog/post-310/)
・抗 RS ウイルス抗体製剤 3種類ありますので、このあと詳しく説明します。
<抗 RS ウイルス抗体製剤>
①シナジス
ハイリスク児(*後述します)には保険適応があります。20年以上前から使われてきました。流行期に月に1回接種するものです。)
②ベイフォータス
ハイリスク児(*後述します)には保険適応があります。生後12か月未満のすべての健康な乳児にも接種可能となっており、自費で希望する方は接種可能です。2024年に新発売となりました。流行期に1回接種しておしまいです。
③エヌフロンシア
保険適応で接種されることはありません。2026年に新発売となりました。流行期に1回接種しておしまいです。
<保険適応ハイリスク児とは>
シナジスとベイフォータスで少し違いがあり、保険適応になるハイリスク児の条件にはこまかいルールがあります。適応があるお子さんは、出産した病院で案内があるはずなので、その指示に従って接種をしてください。詳細を省いて病名のみ記載します。
・早産児(在胎期間 36週未満)
・血行動態に異常のある先天性心疾患の児・免疫不全を伴う児・ダウン症候群の児、慢性肺疾患、2024年追加の5疾患(肺低形成・気道狭窄・先天性食道閉鎖・先天代謝異常症・神経筋疾患)など
<自費で接種可能な抗 RS ウイルス抗体製剤>
・エヌフロンシア 当院で接種可能です。55000円です。体重によらず一律です。お取り寄せの製剤になるので、事前予約が必要です。
・ベイフォータス 体重によりお薬の量が変わります。非常に高額(45~200万円くらい)のため当院では取り扱いがありません。
<自費で接種が推奨される児>
エヌフロンシアの適応は、「生後初回のRSウイルス感染流行期を迎える新生児・乳児」とされています。
ハイリスク児だけでなく、すべてのゼロ歳児が適応となっているところがポイントです。ベイフォータスより価格が抑えられていますので、現実的に接種を考えることができると思います。
2026年からは妊婦さんに接種するワクチン(アブリスボ)が公費で開始されていますので、このアブリスボが効果を発揮している間(6か月程度)に流行期を迎えるお子さんは、積極的に接種しなくてもよいかもしれません。
接種が推奨されるのは、以下のお子さんたちです。
・アブリスボ未接種の妊婦さんから出生したゼロ歳児
・アブリスボ接種後2週間以内(アブリスボの効果が充分に発揮される前)に出生したゼロ歳児
・アブリスボの有効期間(6か月程度)以降に初回のRSウイルス流行期を迎えたゼロ歳児(たとえば、妊婦さんが3月にアブリスボ接種、4月ころに出生したが、11月ころRSウイルス流行期を迎えた場合、のようなパターン)
抗 RS ウイルス抗体製剤を投与すれば、RSウイルスに感染しなくなるわけではありませんが、入院などにつながる重症化を減らすことができます。
<RSウイルス流行期はいつ?>
年度や地域により流行時期は変わります。そのため、流行期に合わせて妊婦さんがアブリスボを打つ・打たないの選択は難しいです。
エヌフロンシアは適切なタイミングを検討してからの接種になりますので、出産時や、ワクチン・健診などの際に当院までご相談ください。
参考:神奈川県の2026 年シーズンの抗 RS ウイルス抗体製剤投与推奨期間 https://jps-kanagawa.jp/documents/rsv20261019.pdf